PCBについて
PCBはPoly Chlorinated Biphenyl(ポリ塩化ビフェニル)の略称で、ポリ塩化ビフェニル化合物の総称であり、その分子(一般式C12HnCl(10-n))に保有する塩素の数やその位置の違いにより理論的に209種類の異性体が存在し、なかでも、コプラナーPCB(コプラナーとは、共平面状構造の意味)と呼ばれるものは毒性が極めて強くダイオキシン類として総称されるものの一つとされています。
一方、溶けにくく、沸点が高い、熱で分解しにくい、不燃性、電気絶縁性が高いなど、化学的にも安定な性質を有することから、電気機器の絶縁油、熱交換器の熱媒体、ノンカーボン紙など様々な用途で利用されました。
PCBの毒性について
脂肪に溶けやすいという性質から、慢性的な摂取により体内に徐々に蓄積し、様々な症状を引き起こすことが報告されています。
PCBが大きくとりあげられる契機となった事件として、カネミ油症事件があります。この事件は、米ぬか油(ライスオイル)中に、脱臭工程の熱媒体として用いられたPCB等が混入したことが原因で、昭和43年10月、西日本を中心に広域にわたって、米ぬか油による食中毒が発生しました。当時の患者数は約1万3千名に上ったと言われています。
一般にPCBによる中毒症状として、目やに、爪や口腔粘膜の色素沈着などから始まり、ついで、座瘡様皮疹(塩素ニキビ)、爪の変形、まぶたや関節のはれなどが報告されています。
PCBとダイオキシンについて
ダイオキシン類の主な発生源は、ごみ焼却などの燃焼によって発生することが一般に知られていますが、その他製鋼用電気炉、たばこの煙、自動車の排気ガスなど様々な発生源があり、いずれも意図的に製造したものではなく、非意図的に生成されたといえます。一方、コプラナーPCBが環境中に存在している要因としては、ごみ焼却によって発生することが判明しているほか、トランス、コンデンサ等の紛失・不明による機器内に含有していたPCBの流出が指摘されています。
〜ダイオキシン類豆知識〜
ダイオキシン類は、下図のように、基本的には炭素で構成されるベンゼン環(下図の六角形の部分)が2つ、酸素(図の「O」)で結合したりして、それに塩素が付いた構造をしています。下図の「1」〜「9」及び「2´」〜「6´」の位置には塩素又は水素が付いていますが、塩素の数や付く位置によっても形が変わるので、PCDD は75 種類、PCDF は135 種類、コプラナーPCB は十数種類の仲間があります(これらのうち毒性があるとみなされているのは29 種類です。)