作業環境測定

労働安全衛生法(昭和四十七年六月八日法律第五十七号)

第六十五条  事業者は、有害な業務を行う屋内作業場その他の作業場で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、必要な作業環境測定を行い、及びその結果を記録しておかなければならない。
2  前項の規定による作業環境測定は、厚生労働大臣の定める作業環境測定基準に従つて行わなければならない。
3  厚生労働大臣は、第一項の規定による作業環境測定の適切かつ有効な実施を図るため必要な作業環境測定指針を公表するものとする。
4  厚生労働大臣は、前項の作業環境測定指針を公表した場合において必要があると認めるときは、事業者若しくは作業環境測定機関又はこれらの団体に対し、当該作業環境測定指針に関し必要な指導等を行うことができる。
5  都道府県労働局長は、作業環境の改善により労働者の健康を保持する必要があると認めるときは、労働衛生指導医の意見に基づき、厚生労働省令で定めるところにより、事業者に対し、作業環境測定の実施その他必要な事項を指示することができる。


作業環境測定を行うべき作業場と測定の種類等一覧
作業環境測定を行うべき作業場 測定
作業場の種類(労働安全衛生法施行令第21条) 関連規則 測定の種類 測定回数 記録の保存
土石、岩石、鉱石、金属または炭素の粉じんを著しく発散する屋内作業場 粉じん則
26条
空気中の粉じんの濃度および
粉じん中の遊離ケイ酸含有率
6月以内
毎に1回
7年
2 暑熱、寒冷または多湿の屋内作業場 安衛則
607条
気温、湿度および輻射熱 半月以内
毎に1回
3年
3 著しい騒音を発生する屋内作業場 安衛則
590条、
591条
騒音レベル 6月以内
毎に1回
(注1)
3年
4 坑内作業場 イ 炭酸ガスが停滞する作業場 安衛則
592条
炭酸ガスの濃度 1月以内
毎に1回
3年
ロ 28℃を超える作業場 安衛則
612条
気温 半月以内
毎に1回
3年
ハ 通気設備のある作業場 安衛則
603条
通気量 半月以内
毎に1回
3年
5 中央管理方式の空気調和設備を設けている建築物の室で、事務用の用に供されるもの 事務所則
7条
一酸化炭素及び炭酸ガスの含有率、
室温および外気温、相対湿度
2月以内
毎に1回
3年
6 放射線業務を行う作業場 イ 放射線業務を行う管理区域 電離則
54条
外部放射線による線量当量率 1月以内
毎に1回
5年
 放射線物質取扱作業場 電離則
55条
空気中の放射性物質の濃度 1月以内
毎に1回
5年
ハ 坑内の核原料物質の採掘業務を行う作業場
特定化学物質等(第1類物質または第2類物質)を製造し、または取り扱う屋内作業所等 特化則
36条
第1類物質または第2類物質の空気中の濃度 6月以内
毎に1回
3年(注2)
石綿等を取扱い、もしくは試験研究のため製造する屋内作業場 石綿則
36条
石綿の空気中における濃度 6月以内
毎に1回
40年
一定の鉛業務を行う屋内作業場 鉛則
52条
空気中の鉛の濃度 1年以内
毎に1回
3年
10 酸素欠乏危険場所において作業を行う場合の当該作業場 酸欠則
3条
第1種酸素欠乏危険作業に係る作業場にあっては、
空気中の酸素の濃度
作業開始
前ごと
3年
第2種酸素欠乏危険作業に係る作業場にあっては、
空気中の酸素および硫化水素の濃度
作業開始
前ごと
3年
第1種有機溶剤または第2種有機溶剤を製造し、または取り扱う業務を行う屋内作業場 有機則
28条
当該有機溶剤の濃度 6月以内
毎に1回
3年
※印は作業環境評価基準の適用される作業場
注1:設備を変更し、または作業工程もしくは作業方法を変更した場合には、遅滞なく、等価騒音レベルを測定しなければならない
注2:特定のものについては30年間
  6 については、当社では測定を実施しておりません


管理区分について
第1管理区分
作業環境管理が適切であると判断される状態
第2管理区分
作業環境管理になお改善の余地があると判断される状態
第3管理区分
作業環境管理が適切でないと判断される状態


作業環境測定対象物質の管理濃度一覧
物質名 管理濃度
1 土石,岩石,鉱物,金属または炭素の粉じん 次の式により算定される値
E=3.0/(1.19Q+1)
E:管理濃度(mg/m3
Q:当該粉じんの遊離けい酸含有率(%)
2 アクリルアミド 0.1mg/m3
3 アクリロニトリル 2ppm
4 アルキル水銀化合物(アルキル基がメチル基またはエチル基である物に限る) 水銀として0.01mg/m3
5 エチレンイミン 0.05ppm
6 エチレンオキシド 1ppm
7 塩化ビニル 2ppm
8 塩素 0.5ppm
9 塩素化ビフェニル(別名:PCB) 0.01mg/m3
10 カドミウムおよびその化合物 カドミウムとして0.05mg/m3
11 クロム酸およびその塩
  金属クロム
  3価クロム化合物
  6価クロム化合物
  ある種の6価クロム化合物
クロムとして0.05mg/m3
12 五酸化バナジウム バナジウムとして0.03mg/m3
13 コールタール ベンゼン可溶性成分として0.2mg/m3
13の2 酸化プロピレン 2ppm
14 シアン化カリウム シアンとして3mg/m3
15 シアン化水素 3ppm
16 シアン化ナトリウム シアンとして3mg/m3
17 3,3'-ジクロロ-4,4'-ジアミノジフェニルメタン 0.005mg/m3
17の2 1,1-ジメチルヒドラジン 0.01ppm
18 臭化メチル 1ppm
19 重クロム酸およびその塩 クロムとして0.05mg/m3
20 水銀およびその無機化合物(硫化水銀を除く)
  水銀蒸気
水銀として0.025mg/m3
21 トリレンジイソシアネート 0.005ppm
21の2 ニッケル化合物(ニッケルカルボニルを除き,粉状のもに限る)
  ニッケル化合物,水溶性
  ニッケル化合物,水溶性でないもの
ニッケルとして0.1mg/m3
22 ニッケルカルボニル 0.001ppm
23 ニトログリコール 0.05ppm
24 パラ-ニトロクロルベンゼン 0.6mg/m3
24の2 砒素およびその化合物(アルシンおよび砒化ガリウムを除く) 砒素として0.003mg/m3
25 弗化水素 0.5ppm
26 ベータ-プロピオラクトン 0.5ppm
27 ベリリウムおよびその化合物 ベリリウムとして0.002mg/m3
28 ベンゼン 1ppm
28の2 ベンゾトリクロリド 0.05ppm
29 ペンタクロルフェノール(別名:PCP)およびそのナトリウム塩 ペンタクロルフェノールとして0.5mg/m3
29の2 ホルムアルデヒド 0.1ppm
30 マンガンおよびその化合物(塩基性酸化マンガンを除く) マンガンとして0.2mg/m3
31 沃化メチル 2ppm
32 硫化水素 1ppm
33 硫酸ジメチル 0.1ppm
33の2 石綿 5μm以上の繊維として0.15本/m3
34 鉛およびその化合物 鉛として0.05mg/m3
35 アセトン 500ppm
36 イソブチルアルコール 50ppm
37 イソプロピルアルコール 200ppm
38 イソペンチルアルコール(別名:イソアミルアルコール) 100ppm
39 エチルエーテル 400ppm
40 エチレングリコールモノエチルエーテル(別名:セロソルブ) 5ppm
41 エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(別名:セロソルブアセテート) 5ppm
42 エチレングリコールモノ-ノルマル-ブチルエーテル(別名:ブチルセロソルブ) 25ppm
43 エチレングリコールモノメチルエーテル(別名:メチルセロソルブ) 0.1ppm
44 オルト-ジクロルベンゼン 25ppm
45 キシレン 50ppm
46 クレゾール 5ppm
47 クロルベンゼン 10ppm
48 クロロホルム 3ppm
49 酢酸イソブチル 150ppm
50 酢酸イソプロピル 100ppm
51 酢酸イソペンチル(別名:酢酸イソアミル) 50ppm
52 酢酸エチル 200ppm
53 酢酸ノルマル-ブチル 150ppm
54 酢酸ノルマル-プロピル 200ppm
55 酢酸ノルマル-ペンチル(別名:酢酸ノルマル-アミル) 50ppm
56 酢酸メチル 200ppm
57 四塩化炭素 5ppm
58 シクロヘキサノール 25ppm
59 シクロヘキサノン 20ppm
60 1,4-ジオキサン 10ppm
61 1,2-ジクロルエタン(別名:二塩化エチレン) 10ppm
62 1,2-ジクロロエチレン(別名:二塩化アセチレン) 150ppm
63 ジクロルメタン(別名:二塩化メチレン) 50ppm
64 N,N-ジメチルホルムアミド 10ppm
65 スチレン 20ppm
66 1,1,2,2-テトラクロルエタン(別名:四塩化アセチレン) 1ppm
67 テトラクロルエチレン(別名:パークロルエチレン) 50ppm
68 テトラヒドロフラン 50ppm
69 1,1,1-トリクロルエタン 200ppm
70 トリクロルエチレン 10ppm
71 トルエン 20ppm
72 二硫化炭素 1ppm
73 ノルマルヘキサン 40ppm
74 1-ブタノール 25ppm
75 2-ブタノール 100ppm
76 メタノール 200ppm
77 メチルイソブチルケトン 20ppm
78 メチルエチルケトン 200ppm
79 メチルシクロヘキサノール 50ppm
80 メチルシクロヘキサノン 50ppm
81 メチル-ノルマル-ブチルケトン 5ppm
備考 管理濃度の値は、温度25℃、1気圧の空気中における濃度を示す。
JAWE -日本作業環境測定協会-より 厚生労働省告示第42号(平成24年2月7日)


女性労働基準規則の改正(平成24年4月10日公布、同10月1日施行予定)

屋内作業場において、生殖機能などに有害な下記の化学物質に係る作業環境測定の結果が「第3管理区分」である時には、作業環境改善等によって第3管理区分でなくなるまでの間、母性保護の観点から、すべての女性労働者の就業を禁止するものです。

対象となる化学物質
項目上記表
の関連
特化物
(13種類)※
塩素化ビフェニル(別名:PCB) 9
アクリルアミド 2
エチレンイミン 5
エチレンオキシド 6
カドミウム化合物 10
クロム酸塩11
五酸化バナジウム12
水銀およびその無機化合物(硫化水銀を除く)20
塩化ニッケル(II)(粉状のものに限る)21の2
砒素化合物(アルシンおよび砒化ガリウムを除く)24の2
ベータ-プロピオラクトン 26
ペンタクロルフェノール(別名:PCP)およびそのナトリウム塩 29
マンガン30
鉛等鉛およびその化合物 34
有機溶剤
(11種)
エチレングリコールモノエチルエーテル(別名:セロソルブ) 40
エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(別名:セロソルブアセテート) 41
エチレングリコールモノメチルエーテル(別名:メチルセロソルブ) 43
キシレン 45
N,N-ジメチルホルムアミド64
スチレン65
テトラクロルエチレン(別名:パークロルエチレン)67
トリクロルエチレン70
トルエン71
二硫化炭素72
メタノール76
※カドミウム、クロム、バナジウム、ニッケル、砒素の金属単体およびマンガン化合物は対象にならない。


分析依頼等詳しくはお問い合わせください。(環境技術部 直通)TEL(082)923-9957 FAX(082)923-0244

参考・関連

もどる